2023/10/24

桂花の舎

◼️桂花の舎白井晟一)

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◼️桂花の舎白井晟一)

白井晟一の最晩年の作品・桂花の舎。
佇まいが美しい。
1984年竣工(築約50年)ということで、想像していたより、まだ建築が生きていて、設計者や住人の息遣いが聞こえてくるようだった。
駐車場の扉や、軒先のコーナーの留めなど、外部の雨がかりする細工が細かいところは、雨で劣化していたが、軒がそこまで出てない割に、材が大きく、板金周りや通風などのディテールが丁寧なお陰か、保存状態が非常に良かった。

木や石、レンガなど、その材料持つ特性や適性な寸法、活きる位置などに、彼なりの解釈やセンスがあって、連続的な平面、整えられた立面の中にまとめられているので、シンプルなプランニングながら、より密度が高く感じる。
ただ、少し気になったのは、白井晟一の木造の場合、少し西洋、石造建築の陰影に寄せがちなのか、呉羽の舎もそうだったが、木に雨がかかって、結構痛んでいる部分ができる。
今回は、篤志家と白井晟一を評価する杉本博司によって救われたが、長寿命な木造建築を作るのは非常に難しいと思わされてしまった。

江之浦測候所に移築されるということで、おそらく新素材研究所による改修でしょうし、内部が見れるようだったら非常に楽しみ。