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◼️粟津邸(原広司)
1972年竣工。原広司の作品解説によると、開発が進み自然環境が破壊されていっていた当時においては、日本建築の伝統である内外部が曖昧で自然に開くあり方ではなく、閉じることを選択せざるを得なかったと。こうした指向や建築のあり方が、この建築などによって高度に示されたからこそ、1976年の住吉の長屋に繋がって行ったのだろうと想像できた。そうしたことからも、日本の住宅史において、非常に重要な作品なんだろうと思った。
もちろん、ディテールがついていってない部分があって、アプローチのため、陸屋根を歩行部としたために防水処理が難しくなり、その下(2階)の居間部分に雨漏りがあったり、斜面と接する2階寝室にドライエリアや2重スラブを設けてないが故に、湿気のダメージがあったりとするのは先駆的な建築であったためであろうが、長く残すためには悩ましい。
何より、こうした名作をギャラリーとして公開してくださったお施主さんに感謝。